上顎骨側方骨延長術を併用した矯正治療例

骨延長術とは:
骨延長術は、麻酔下に人工的に骨折させ(骨切りすると言います)、その骨切りした部分が治癒する過程で生じる「未熟な骨の元(仮骨)」を術後にゆっくりと牽引することで骨を延長する治療法です。
骨を牽引して延長するための器械(創外固定器)を取り付けるところまでが手術になります。
骨延長の早さは1日0.5mmを基準に拡大を行い、予定通りの延長量に達したら、今度は化骨が成熟して固い本当の骨になるまで待つ必要があります。

実際の症例

・治療前の状態(21才の男性)
上顎の側切歯が内側に位置し、上顎の歯列弓の幅が狭いために臼歯で良く噛めない状態でした。
従来の治療では、小臼歯を抜歯して、矯正治療にて上顎の拡大をおこなう治療なされてきましたが、後戻りしやすく、歯根が露出しやすいなどの問題がありました。 これらの問題を鑑み、この症例の治療方針は、矯正治療前に上顎骨側方骨延長術を行い、非抜歯にて矯正治療を行うことにいたしました。

拡大後の状態

上顎骨骨切りの手術後
約2週間かけて7.5mm拡大しました

矯正治療後の状態(約1年半後)

治療経過のムービー

口腔内正面

口腔内上顎

症例
1.主訴:上の歯の凸凹。横でよくかめない。
2.診断名:交叉咬合、上顎狭窄歯列弓、上下顎叢生歯列弓
3.年齢:21歳
4.治療に用いた装置:マルチブラケット装置
5.抜歯部位:上下顎左右第三大臼歯
6.治療期間:1年5か月
7. 治療費総額の目安:保険診療自己負担額(3割負担)で、¥250,000~¥300,000 ※外科手術費(保険)は別途(提携病院実施)
なお、この治療法は保険適用外になることもあります。その際は矯正治療、外科手術とも自費になる可能性があります。
8.一般的なリスク・副作用:初めて装置を装着した時やワイヤー調整後、個人差はありますが、違和感や咬むと痛みを感じることがあります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
  個別リスク・副作用:上顎歯列を手術を併用し拡大しても、多少の後もどりの可能性があります。


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